マーケティングリサーチャーとは
企業のマーケティング活動に必要な市場調査や消費者調査を専門的に行う職種です。製品開発やブランド戦略、広告キャンペーンなどの意思決定に不可欠なデータを収集・分析し、実践的な示唆を提供します。近年では、従来の定量・定性調査に加えて、ビッグデータ分析やソーシャルリスニングなども活用し、より多角的な視点から市場と生活者を理解することが求められています。特に2000年代以降のインターネットの普及により、デジタルフットプリントから得られる行動データが爆発的に増加し、従来の調査手法とデジタルデータを組み合わせたハイブリッドな分析アプローチが標準となっています。
マーケティングリサーチャーの業務内容
マーケティングリサーチャーの主な業務は、調査設計から実施、分析、レポーティングまでの一連のプロセスを担当します。具体的には、クライアントのニーズをヒアリングし、適切な調査手法を選定。アンケートやインタビューの設計、調査対象者のリクルーティング、フィールドワークの管理を行います。データ収集後は、統計解析やテキストマイニングなどの手法を用いて分析を行い、クライアントに向けて実用的な提案をまとめます。デジタルツールやAIの活用により、より精緻な分析が可能になっています。WebサイトのアクセスログやSNSデータ、ECサイトの購買履歴など、リアルタイムで生成される大量のデータを効率的に収集・分析するためのデータパイプライン構築やデータウェアハウスの活用も、現代のマーケティングリサーチャーの重要なスキルセットとなっています。
マーケティングリサーチャーの担当するプロジェクト例
典型的なプロジェクトとしては、新製品開発のための市場調査、ブランドイメージ調査、広告効果測定、顧客満足度調査などが挙げられます。例えば、飲料メーカーの新商品開発では、ターゲット層の嗜好調査やコンセプト評価、価格感度分析などを実施。広告代理店のキャンペーン効果測定では、認知度調査や態度変容分析を行います。最近では、SNSの口コミ分析やウェブサイトのアクセス解析など、デジタルデータを活用したプロジェクトも増加しています。例えば、ユーザーの行動ログ分析によるカスタマージャーニーの可視化、AIを活用したレコメンデーションエンジンの精度検証、クロスデバイスでのユーザー行動分析など、従来の調査手法では捉えられなかった生活者インサイトの発見に取り組んでいます。
マーケティングリサーチャーのキャリアパス
キャリアパスとしては、大きく3つの方向性が考えられます。1つめは、調査会社や広告代理店、シンクタンクなどで専門性を深めていくキャリアです。実務経験を積みながら、定性・定量調査のスペシャリストやして専門性を高めていく道や、複数のプロジェクトをまとめるリサーチディレクターとしてマネジメント職へステップアップする道があります。調査設計からデータ分析、提案に至るまでの一連のプロセスをマネジメントし、若手の育成も担う立場として、組織の中核を担っていきます。
2つめは、リサーチの経験を基盤としながら、より広範なマーケティング領域へとスキルを拡張していくキャリアです。例えば、広告代理店のストラテジックプランナーとして、データや生活者インサイトに基づいた戦略立案やクリエイティブブリーフの作成を担当したり、事業会社のマーケターとして、自社のマーケティング戦略の企画・実行を主導したりするケースが挙げられます。リサーチで培った生活者理解や分析力を活かしながら、より事業に近い立場でマーケティングの実践に携わることができます。
3つめは、リサーチのスキルと知見を活かしてコンサルティング会社に転身するキャリアです。マーケティングリサーチは本質的に、クライアントの経営課題を解決するためのインプットを提供する役割を担っており、この経験はコンサルタントとしての基礎となります。戦略コンサルティングファームやマーケティングコンサルティング会社では、より上流の経営課題に対して、データドリブンなアプローチで解決策を提案・実行支援していくことが可能です。特に近年は、デジタルトランスフォーメーションやデータ活用の文脈で、リサーチャー出身のコンサルタントの価値が高まっています。
マーケティングリサーチャーになるには
マーケティングリサーチャーをめざす場合、いくつかのアプローチが可能です。まずは、マーケティング関連企業での営業職など、顧客接点のある職種からの転身です。このルートでは、クライアントのニーズや課題を理解し、適切な調査設計につなげるための実務感覚を養うことができます。特に、調査会社や広告代理店での営業経験は、リサーチのプロセス全体を俯瞰的に理解する良い機会となります。
また近年では、データサイエンティストやアナリストなど、データ分析職からの転身も増えています。これらの職種で培った統計解析やプログラミングのスキルは、現代のマーケティングリサーチでも重要な要素となっています。具体的には、SPSSやRなどの統計ソフト、SQLやPythonでのデータ処理、Tableauなどを使用したビジュアライゼーションの経験が、即戦力として評価されます。
未経験からのキャリアチェンジも決して珍しくありません。リサーチ業界では、データ活用ニーズの高まりを背景に、未経験者の募集も増加傾向にあります。転職サイトや企業の採用ページをこまめにチェックし、エントリーレベルの求人を見逃さないことが重要です。また、マーケティング・リサーチ協会などが提供する基礎講座や、統計検定などの資格取得を通じて、専門知識を補強していくことも有効な戦略です。
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