マーケティング職種辞典

最終更新日:2025.01.29

IPコラボプランナーとは

マルニキャリアマガジン 編集部

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IPコラボプランナーとは

IPコラボプランナーは、知的財産(IP:Intellectual Property)を活用したマーケティング施策を企画・実行する専門職です。アニメ、マンガ、ゲームなどのIPコンテンツホルダーと広告主をつなぎ、双方にとって価値のある協業を生み出すことが主な役割となります。IPコンテンツの特性やファンの心理を深く理解し、ブランドとIPコンテンツの世界観を融合させた独創的なキャンペーンを展開することが求められます。

IPコラボプランナーの業務内容

IPコラボプランナーの具体的な業務は、戦略立案から実行までの包括的なプロセスを担います。その核となるのは、クライアントのマーケティング課題を深く理解し、その解決に最適なIPを見出す「マッチング」の過程です。このマッチングでは、商材とIPコンテンツの接点を多角的に探ります。例えば、商品の形状や色調とキャラクターデザインの親和性、ブランドメッセージとストーリー設定の整合性、作品の世界観や作者のバックグラウンドとの結びつきなど、広範な切り口から可能性を検討します。

発見した接点をもとに、インパクトのあるPRストーリーを構築していきます。その過程では、複数の企画案をプロトタイピングし、クライアントの目的達成とファンの満足度の両方を満たす最適な方向性を模索します。コアとなるPRストーリーが確立したら、そのストーリーを効果的に伝えるためのコンテンツ開発フェーズに移行します。ここでは、ターゲットとなるファン層の特性や行動様式を分析し、彼らの心に響く展開を計画します。

具体的な展開として、ファンが垂涎するようなコラボレーショングッズの制作、IPの世界観を通じてクライアントの商材を体験できる没入型のデジタルコンテンツ制作、リアルイベントの企画など、さまざまな施策を検討します。これらの施策は、予算や目的に応じて最適な組み合わせを選択し、統合的なコミュニケーションプランとして展開します。

同時に、IPホルダーとの権利関係の調整や契約交渉、制作管理、実施後の効果測定まで、プロジェクト全体のマネジメントも重要な責務です。特に、IPの世界観やキャラクターの価値を損なうことなく、かつクライアントの期待に応える成果を生み出すため、細やかなバランス感覚と調整力が求められます。

IPコラボプランナーが広告業界で注目されている理由

IPコラボプランナーが注目を集める背景には、私たちの生活とIPコンテンツとの関係性の大きな変化があります。誰もが子どもの頃や青春時代に心を揺さぶられたアニメやマンガ、キャラクターとの思い出を持っており、それらは人生の大切な記憶として刻まれています。かつては「オタク」と呼ばれた一部の熱心なファンの文化であったIPコンテンツへの愛着は、今や「1億総オタク時代」と呼ばれるほど一般化し、街中でキャラクターグッズを身につける人々の姿は日常の風景となっています。

この変化は、IPビジネスの市場拡大とも連動しています。音楽市場ではアニメソングが上位を占め、それが世界に波及し、映画興行でもアニメ作品が興行収入の上位を独占するなど、IPコンテンツは日本が世界に誇る文化的資産となっています。そして「推し活」に代表される新しいファン文化は、単なる消費を超えた感情的なつながりを生み出しています。

このような状況下で、IPコンテンツを活用したマーケティングおよびコラボレーションは、従来の広告手法ではなかなか実現できなかった可能性を秘めています。その真の価値は、企業やブランドのメッセージを単なる広告としてではなく、創造性に富んだエンターテインメントストーリーとして届けられる点にあります。また、IPコラボレーションは、声優やクリエイター、ファンを公言する著名人なども巻き込んだ熱量の高いコミュニティに働きかけ、SNSでの自発的な情報拡散を生み出します。このような価値創造を実現できるIPコラボプランナーの重要性は、さらに高まっていくと考えられています。

IPコラボはコンテンツの再活性化をもたらす

IPコラボレーションがもたらす効果は、広告主側だけにとどまりません。優れたIPコラボは、クライアント企業に売上向上や好意度アップなどの直接的な効果をもたらすと同時に、コラボレーション先のIPコンテンツにも新たな価値を創出します。特筆すべきは、現在注目を集めているコンテンツだけでなく、かつて一世を風靡した作品やキャラクターを現代に蘇らせる「リバイタライズ(再活性化)」の可能性を秘めている点です。

近年、日本のアニメやマンガ、音楽が世界規模で再評価され、新たな文脈で発見されている状況の中、放送局、出版社、レコード会社などのコンテンツホルダーが保有する膨大なIPは、まさに眠れる可能性の宝庫となっています。IPコラボプランナーは、これらの埋もれた資産に新たな光を当て、現代のマーケティングコミュニケーションに生かすことのできる、いわば「コンテンツの価値発掘者」としての役割も担っているのです。

IPコラボプランナーのキャリアパス

IPコラボプランナーのキャリアパスは、経験と実績を積み重ねることで多様な発展可能性を秘めています。広告代理店でキャリアをスタートさせた場合、主に以下の3つの方向性でのキャリア展開が考えられます。

まず1つ目は、広告代理店内でのキャリアアップです。重要クライアントのプロジェクトを成功に導いたり、業界に新しい風を吹き込むようなインパクトのある企画を実現することで、社内外からの信頼を獲得していきます。そうした実績を重ねることで、より大規模なプロジェクトを統括するクリエイティブディレクターやプランニングディレクター、あるいはシニアプロデューサーとしてキャリアを発展させることができます。

2つ目は、コンテンツプロデューサーへのキャリアチェンジです。IPコラボプランナーとして培った企画力や人脈を生かし、コラボレーションを企画する立場から、製作委員会などの座組を利用し、コンテンツそのものを創出・プロデュースする立場へとステップアップする道があります。この場合、エンターテインメント業界における新たなビジネスモデルの構築など、よりチャレンジングな役割を担うことになります。

3つ目は、コンテンツホルダー側へのキャリアチェンジです。出版社、音楽レーベル、放送局などのIPホルダー企業において、自社コンテンツの価値最大化とコラボレーション推進を担う立場へと活躍の場を移す選択肢があります。この場合、広告代理店での経験を生かし、コンテンツの宣伝戦略の立案から実施までを統括する場合もあります。例えば、新作アニメの放送開始に向けたプロモーション戦略の策定、人気マンガの実写化における話題化施策の展開、音楽アーティストの新曲リリースに合わせたタイアップ展開など、コンテンツの魅力を最大限に引き出す宣伝活動全般をプロデュースします。さらに、IPの権利管理から収益化戦略の立案、新規ビジネス開発まで、より包括的なコンテンツビジネスのマネジメントにも携わります。

IPコラボプランナーになるには

IPコラボプランナーを目指すにあたって、最も重要な基盤となるのは、IPやエンターテインメントコンテンツへの深い理解と愛着です。ただし、単なるファンとしての知識や熱意だけでなく、それを商業的な価値創造につなげられる実務的なスキルセットが求められます。

実務経験の面では、広告代理店でのプランナー経験や、エンターテインメント業界での就業経験が重要な足がかりとなります。特に、クライアントの課題を的確に把握し、コンテンツやメディアの力を活用して解決に導いた実績は、転職活動や部署異動の際に高く評価される要素となります。加えて、IPホルダーとの関係構築力、企画力、プロデュース力など、特定の分野で秀でた能力を持っていることが望ましいとされています。

現在の広告業界では、90年代前後のコンテンツ黄金期以降に生まれた「コンテンツネイティブ」世代の若手〜中堅プランナーが台頭しています。彼らにとって、IPコンテンツは生活の一部として自然に親しんできた存在であり、それゆえIPコラボプランニングを担当するポジションは非常に人気が高くなっています。

IPコラボプランナーの転職ならマルニ

株式会社マルニではIPコラボプランナーの転職支援を行っています。所属コンサルタントの丸本は博報堂アイ・スタジオや東急エージェンシーで国内外の大企業および地方自治体とのIPコラボレーション企画を数多く成功に導いてきました。どの企業に転職すれば、魅力的なIPコラボプロジェクトに関われるか。自身のIPコラボ経験と各広告代理店や出版社などの市況感を踏まえて、アドバイスが可能です。ぜひ一度お問い合わせください。

INTERVIEWER

丸本 翔一

コンサルタント

大学を4回留年後、複数社を経て、博報堂アイ・スタジオでインタラクティブプラナー/コピーライター、東急エージェンシーで統合コミュニケーションプランナーとして、国内外大手企業/自治体の多様なマーケティング・コミュニケーションPJに数多く携わり、特にデジタル/ソーシャルメディアを活用した企画立案において多くの実績を残した。その後、株式会社マルニを創業。

大学を4回留年後、複数社を経て、博報堂アイ・スタジオでインタラクティブプラナー/コピーライター、東急エージェンシーで統合コミュニケーションプランナーとして、国内外大手企業/自治体の多様なマーケティング・コミュニケーションPJに数多く携わり、特にデジタル/ソーシャルメディアを活用した企画立案において多くの実績を残した。その後、株式会社マルニを創業。

INTERVIEWER

若林 一平

代表コンサルタント

金融系のシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、営業にキャリアチェンジ。テクノロジーへの知見と営業力を武器にウェブ制作会社を創業するも廃業。その後、ぴあにてデジタル領域の新規事業立ち上げ、セールスフォース・ジャパンにてITコンサルティングなどを経験したのち、人材紹介会社にて転職支援のコンサルタントとして活躍。多様な職務経歴/人生経験から生み出された独自のキャリア論で多くの求職者から支持を集める。2022年株式会社マルニに参画し、転職支援事業の責任者に就任。

金融系のシステムエンジニアとしてキャリアをスタート。その後、営業にキャリアチェンジ。テクノロジーへの知見と営業力を武器にウェブ制作会社を創業するも廃業。その後、ぴあにてデジタル領域の新規事業立ち上げ、セールスフォース・ジャパンにてITコンサルティングなどを経験したのち、人材紹介会社にて転職支援のコンサルタントとして活躍。多様な職務経歴/人生経験から生み出された独自のキャリア論で多くの求職者から支持を集める。2022年株式会社マルニに参画し、転職支援事業の責任者に就任。

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株式会社マルニでは広告/マーケティング/IT業界などで業務経験のあるコンサルタントが実体験をベースとしたキャリアのアドバイスとキャリアプランに沿った企業紹介を行っています。

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