UXデザイナーとは
UXデザイナー(User Experience Designer)は、ユーザーが製品やサービスを利用することで得られる体験全体(UX)を設計するプロフェッショナルです。主にスマートフォンアプリやウェブサイトなどのサービスやデジタルプロダクトを通して、ユーザーが心地よく操作でき、満足度の高い体験を得られるよう、細部まで配慮した設計を行います。単なる見た目の美しさだけでなく、使いやすさや問題解決の効率性など、ユーザーにとって真に価値のある体験を創出することがUXデザイナーの使命です。
なぜUXデザイナーの需要が高まっているのか
UXデザイナーの需要が高まっている背景には、生活者行動の変化、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、競争環境の激化という3つの主要因があります。まず、スマートフォンが普及したことで、生活者は直感的で使いやすいサービスに慣れ、そうでないサービスから離脱するようになりました。さらに、コロナ禍を契機としたDXの加速により、あらゆる企業がデジタルサービスの提供を迫られ、質の高いユーザー体験の設計が不可欠となりました。そして、前述したデジタルサービスの増加により競争が激化し、製品やサービスの差別化要因としてUXの重要性が高まっています。こうした中、ユーザー体験を設計するUXデザイナーは、企業の競争力を左右する人材として注目を集めています。
価値交換のパラダイムシフトとUXデザイン
UXデザインを考えるうえではサービスドミナントロジックという考え方も重要です。まず、デジタル技術を通してインタラクティブなコミュニケーションが浸透するまでの世の中は、価値は製品やサービスに内在するものと捉え、企業が一方的に生産・提供したモノを貨幣と交換するグッズドミナントロジックという考え方が支配的でした。一方、サービスドミナントロジックは、すべての経済活動をサービスの交換として捉え、価値は企業が一方的に提供するものではなく、ユーザーとの共創によって生まれるという考え方です。
この文脈において、UXデザインは価値共創のための重要なプラットフォームとして機能します。例えば、ユーザーが製品やサービスを使用する過程で得られる体験は、企業が提供する機能や性能だけでなく、ユーザー自身の文脈や目的、使用環境などと相互作用することで独自の価値を生み出します。UXデザイナーは、この価値共創プロセスを最適化するファシリテーターとしての役割を担い、ユーザーリサーチやプロトタイピングを通じて、より深い価値創造の機会を探求します。サービスドミナントロジッの視点からUXを捉えることで、単なる機能的な使いやすさを超えて、ユーザーの文脈に根ざした意味のある体験デザインが可能となります。
UXとUIの違い
UXが製品やサービスの利用体験全体を指すのに対し、UI(ユーザーインターフェース)はその体験を実現するための具体的な画面設計や視覚的要素を指します。例えば、ECサイトでの購入プロセスにおいて、商品検索から決済完了までのスムーズな流れを設計するのがUX、各画面のレイアウトやボタン、メニューなどの具体的なデザインを行うのがUIです。
UXとCXの違い
CX(カスタマーエクスペリエンス)は企業とカスタマーとのすべての接点における体験を包括的に捉え、ブランドとの関係構築から購入後のサポートまで、顧客関係全体を対象とします。一方、UXは特定の製品やサービスの使用体験に焦点を当て、より具体的な機能や使いやすさを追求します。例えば、あるブランドのスマートフォンを考えた場合、店舗での接客や購入後のサポート体験はCX、実際の端末操作の快適さはUXの領域となります。
UXデザイナーのキャリアパス
UXデザイナーとしてのキャリアは、多くの場合、ジュニアUXデザイナーからスタートします。実務経験を積みながら、徐々に複雑なプロジェクトを任されるようになり、UXマネージャーとしてチームマネジメントを担当していくのが一般的です。また、さらには職層があがってくるとUXディレクターとして組織全体のUX戦略を統括したり、CDO(Chief Design Officer)やVPoPD(Vice President of Product Design)としてデザイン戦略およびデザイン組織を統括したりする立場になることもあります。
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