地方創生プランナーとは
地方創生プランナーとは、広告代理店やIT企業、事業会社などに所属し、自社(もしくは個人)の持つ専門知識やサービス、ネットワークを活用して地域の活性化を支援する専門職です。具体的には、情報発信、地域資産の開発などを通じて、観光客の誘致や移住・定住の促進、交流人口の増加、県産品の販売強化、企業誘致といった、地域に実質的な価値をもたらすことを目的としています。
地方創生プランナーの業務内容
地方創生プランナーの業務は多岐にわたります。県庁や市町から具体的な課題を相談される場合もあれば、みずからが魅力的なテーマを発見し、事業化に乗り出すことも考えられます。いずれのケースにしても、設定したテーマに対して、自らの専門性を生かし、地域の方と協力しながら、プロジェクトを組成/推進していきます。なお地方創生プランナーが取り組む典型的なプロジェクトとしては以下のようなものが挙げられます:
地域の観光プロモーション戦略の立案・実施
地域の観光資源を活かしたプロモーション施策の企画・運用を中心に、インフルエンサーを活用した情報発信やSNSキャンペーンの展開、多言語対応の観光Webサイトやアプリの企画・開発などを包括的に推進していきます。
県産品のブランディングと販路開拓
県産品のブランドストーリーを構築し、パッケージデザインの刷新を行うとともに、ECサイトの構築・運営による販路拡大支援、さらにはふるさと納税返礼品としての商品開発とプロモーションまでを一貫して手がけます。
移住・定住促進
移住希望者向けポータルサイトの企画・運営を行い、お試し移住プログラムなどを実施するとともに、地域の仕事・住まい情報をワンストップで発信する体制を整えます。移住検討者の不安や疑問に寄り添いながら、地域の魅力を効果的に伝えていきます。
地場企業のマーケティング支援
自社商品のブランディングやWebサイトのリニューアル、SNSマーケティング、ECサイトの構築など、地場企業のデジタルシフトを総合的に支援します。また、首都圏等への販路開拓や、商品開発のアドバイスなど、企業の成長戦略全般にわたるサポートも行います。
地域DX推進
地域商社のデジタルプラットフォーム構築や観光MaaSの導入支援、キャッシュレス決済の地域実装支援などを行います。デジタル技術を活用することで、地域の利便性向上と経済活性化の両立を目指します。
関係人口創出・育成事業
IPコラボによる情報発信や、地域ファンコミュニティの構築・運営、地域版サブスクリプションサービスの開発などを手がけます。地域と継続的に関わる人々を増やし、将来的な移住者の増加や地域経済の活性化につなげていきます。
これらのプロジェクトは、単独で実施されることもありますが、多くの場合、複数の要素を組み合わせた統合的な地域活性化戦略の一環として展開されます。地方創生プランナーには、多様なプロジェクトを効果的に組み合わせ、地域の実情に合わせた最適なプランを提供することが求められています。
地方創生プランナーが注目されている理由
地方創生プランナーが注目を集めている背景には、地域活性化に対するニーズの多様化と高度化があります。人口減少や経済の停滞に直面する地方では、効果的な情報発信と地域ブランディングに加え、デジタル技術を活用した課題解決が不可欠となっています。地方自治体、地場企業、観光協会など、地域の主要なステークホルダーが、外部からの専門的な知見や支援を必要としているのです。
特に、コロナ禍を経て、地方への移住や二拠点生活への関心が高まり、それに伴う地域プロモーションの重要性も増しています。また、ライフスタイルの変化により、地域での起業や創業、ワーケーションなど、新しい働き方・生き方を実現するための環境整備も求められています。
一方で、地域の持続可能な発展を支援する取り組みへの期待も大きくなっています。環境保全、伝統文化の継承、地域コミュニティの活性化など、多角的な視点での地域づくりが求められる中、広告やマーケティング、IT、都市開発など、様々な分野の知見を持つプランナーの役割が重要性を増しています。
さらに、政府の支援策により、自治体のデジタル化やブランディング事業の予算が拡充されていることも、プランナーへの需要を後押ししています。多くの地域で、観光DXの推進や地域商社の設立、関係人口の創出など、専門性の高いプロジェクトが展開されており、これらを担う人材としても地方創生プランナーは欠かせない存在となっています。
地方創生プランナーになるには
地方創生プランナーをめざす場合、都市部での実務経験と、それを地域の文脈に適用できる応用力が求められます。具体的には、統合的なマーケティング(全体構想力)、PRプロモーション、クリエイティブディレクション、SNSプロモーション、IT、プロジェクトマネジメントなどのスキルが強い武器となります。これらは大都市圏の企業で経験を積むことで習得できる専門性であり、地域単独での育成は困難とされています。
キャリアの入り口として最も一般的なのは、広告代理店やPR会社、マーケティング支援会社、IT企業などで地方自治体や地場企業のプロジェクトを担当することです。例えば、筆者(丸本)が博報堂アイ・スタジオや東急エージェンシー在籍時に経験した佐賀県での事例が、その典型といえるでしょう。IPコラボレーション(知的財産を活用した地域振興)を通じた情報発信事業を担当したことをきっかけに、その後、さまざまな地域にまつわるプロジェクトの相談を受けるようになりました。このように、一つの地域での成功体験が、地方創生プランナーとしてのキャリアの転機となることは少なくありません。
・ご参考:ストリートファイター佐賀
・ご参考:佐賀県副知事 島耕作
実際、プロジェクトを通じて地域に深い愛着を抱き、その土地との関係を深めていくプランナーは数多く存在します。当初はビジネスとして関わった地域に、その土地ならではの魅力や可能性を見出し、地域の方との関係を育みながら、より本質的な地域課題の解決に取り組むようになるケースも珍しくありません。
地方創生プランナーの転職ならマルニ
株式会社マルニでは地方創生プランナーの転職支援を行っています。コンサルタントの丸本は佐賀県における情報発信プロジェクトを数多く成功に導いています 会社員として地域の仕事に携わるとしたらどのような選択肢がありえるのか、副業や独立の可能性も踏まえ、実体験をもとにしたアドバイスが可能です。ぜひお問い合わせください。